Mamiya C220 のレリーズロック不具合修理
 引き揚げてきたマミヤC220が頻繁にレリーズが落ち切らない不具合を起こすので解体して修理してみました。どっちかというと「巻き上げは正常に出来るがレリーズが途中までしか降りない」トラブルで、C3とかによくある「途中から巻き上げできなくなる」トラブルとは別の原因です。

 マミヤCシリーズは基本的にフィルムの走行量からコマ数を決定するオーソドックスなセミオートマットが採用されています。また、巻き上げノブを逆回転させてもフィルムが緩まないためのラチェット構造は非常に単純化されて巻き上げノブ内にあります。下手に凝った構造にして修理できないようなシロモノに作ったリコーフレックスと大違いです。で、単純なんだけどなんらしかのトラブルを抱えるんですよね。

 というわけで巻き上げ・レリーズ関係の入っている右側を開けます。

○右舷の開け方
  1. 巻き上げノブの蓋をはずす。
  2. ハンドルには手をつけずラチェットフックのばねをはずす。
  3. 空きスプールを巻き上げ側に突っ込みラチェットギアをかに目でまわす(正ネジ)。
  4. 外皮をはがして+ネジだけ抜き取る。
 下の写真は巻き上げノブを取り外しているシーンですが、ここではクランクハンドルを撤去していますがその必要はありません。逆巻防止のラチェット爪のバネさえ取ればカニ目で外せます。
 
 
 で、右舷を開けたところ、レリーズが落ちない理由は赤い矢印で示したC型カップでした。このときは深夜0時過ぎで酔っ払い状態でやってたので何も深く考えずに固定して組みなおしたのですが、後日、こいつが重大な機能を帯びており、さらに組立ミスをやっていることが判明します。ちなみに本来は切欠きが写真右側(上向き)か手前側(前向き)になっているのが正解です。
 
 
 このC型カップですが、実はレンズ着脱時のレリーズロック機構になっています。左舷側に集中して仕込まれている着脱機構はダイアルをUNLOCKに切り替えると1.テイクレンズ側にダムのような遮光板が出てきてフィルムの感光を防ぐ、2.レリーズロックし不意にレリーズが切れることがないようにする、3.C33/22以降ではレンズ固定シーソーを押してレンズ固定バーを動かせるようにする、という3つの機能が組み込まれているんですが、開けてみて笑ってしまうくらい単純な構造で実現してて爆笑モンでした。

○左舷側の開け方
 でまあ、右舷側C型カップを外しているときに不用意に動かしてしまい、結局左舷も開ける羽目になりました。その手順は以下です。ちなみにシボ革がはがれていたりという写真が存在しないのは、この日は時間に余裕をもってシラフでやっているがために作業に集中し過ぎ、撮る事を忘れていたのでした。
  1. SINGLE/MULTI切り替えノブの蓋をはずす(ナイフ等でこじってはずす)(写真青矢印)
  2. ニカワで固定さたネジ2本をはずしノブを上向きに引き抜く
  3. 外皮をはがして+ネジだけ抜き取る

 「切り替えノブのはずし方」にどう気づくかがすべてですね。私は「これは破壊しないと外せないなあ」と直感で気づきましたが写真の通りあとからきれいに組み戻せています。
 
 今回はギア位置などを調整しても結局C型カップとレリーズが微妙に接触してアウトだったので、仕方がなく定番のアレをやりました。

 
当たるなら 削ってしまえ ほととぎす
 
 とりあえずテストフィルム2本通して12枚ちゃんと回ってるので問題ないでしょう。また、ついでなんで遮光板駆動関係の部品の清掃とオイルアップもしてあります。

 実際に解体してみて気づいたのですが、マミヤCシリーズにはトリッキーな構造は一切ありません。特に巻き上げ側は本当にオーソドックスな形態をしており、レンズ着脱機能やアホみたいに伸びる蛇腹以外はオーソドックスそのものです。また、レンズ着脱機構についてもシンプルによく考えられており、余計な機能が省かれているC220系のボディに限って言えば修理がかなり簡単な機種です。この機種に限って言えば「巻上げが出来ない」ジャンクなんてジャンクのうちに入りませんし、外側の蛇腹が破れてる程度なら内側の蛇腹もあるのでたいした問題ではありません。
(C)2014 Takayuki Kazahaya