Kiev4の露出計の使い方 |
Kiev-IIIとKiev-4には軍艦部に露出計が乗っかっています。まともに露出計が生きている個体は少ないのですが、運良く私は当たりを引きました。(正直にいうと生きてる個体に当たったくせにぶっ壊しちゃって、その後ちゃんと直して、さらにまた壊してしまったというオチ)。ところがキエフシリーズをはじめ、ソ連製カメラの露出計って感度がGOST表示な上に中途半端な数字しか載っていなかったりしますので軽く説明しましょう。
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○GOSTとASA
そもそもGOSTとはなんじゃらほいという話になりますが、当時のソ連独自の単位だそうです。ASAとGOSTの比較を表1に示します。この表によるとASA100でGOST90、ASA200でGOST180、ASA400でGOST360となります。ここをまず覚えておきましょう。
ASA |
GOST |
ASA |
GOST |
50 |
45 |
200 |
180 |
80 |
70 |
400 |
360 |
100 |
90 |
800 |
720 |
Table1:フィルム感度のASA・GOST対照表
○感度の設定
Fig2で緑色で示されている部分が感度設定です。が、こいつは先述のとおりGOSTで表記されています。緑で示した部分の右側にキリル文字でГОСТとかかれているのが見えると思いますが、こいつを英語表記にするとGOSTになります。
ISO100にしたいときはFig1のグラフを元に65と130の中間くらいに、ISO200のときは130と250の中間のやや130寄りに、ISO400の時は250と500のほぼ中間に設定してやると、おおよその感度になります。ま、この辺は露出計側も結構アバウトなので、設定もアバウトに逝きましょう。
 Fig1:Kiev4の露出計目盛り位置とGOST感度

Fig2:Kiev4の軍艦部周り
○露出の測定と決定
露出計はセレン光電池を利用したものです。測光するにはまず蓋を解放し、被写体に向かって正対させます。すると露出計の針が振れると思います。振れたら巻き戻しノブの回りのダイアルのうち外側のダイアルを回し、針がFig2で赤くまるで囲んだ文字盤の菱形のマークが合致するように調整します。このとき、内側のリング(赤く色づけ)に出ているのが絞り値、外側のリング(青く色づけ)に出ているのがシャッター速度です。絞り値に対応するシャッター速度を選ぶと適正露出となります。
ちなみにやっぱりセレン露出計ですから低輝度じゃ全然反応しません。本来は説明書とともに低輝度時の露出補正用の数値が記載されたカードが添付されていました。これがあれば極低輝度でも単体露出計無しで撮影できるんですけどね。露出計の文字盤に書いてある2とか4とかいう数字は低輝度での補正用の数値なのです。このカードどっかに転がってないかなぁ、PDFかなんかで。
○露出計の補正
やっぱりズレちゃってる露出計が多いのですが、2通りの方法である程度ズレを校正できます。1つは正規の校正方法で、メーターブロックの裏側右下についてるマイナスねじをくるくる回し、文字盤自体を移動させてしまう方法です。が、すでにこの方法で校正されている個体が多いので、これで校正し切れるかは微妙です。大抵はセレンが劣化しているので、なんとかセレンを摘出して表面を磨けば復活するものもあるんですけど……。
正規の方法でズレが校正できない場合は感度設定でなんとかします。単体露出計や一眼レフのTTL露出計で露出計測し、それに合わせて露出計のシャッター速度と絞り値をセットします。で、露出計の針が適正値になるように感度ダイアルを設定します。一度感度位置を見ておけば、次からも同じ感度のフィルムを使うときは同じ位置に感度ダイアルを設定すればいいわけで、本体側に手を加えなくても露出計の校正が可能となるわけです。
露出計の補正の最終手段はサイズの合う太陽光電池を仕込み、調整抵抗を入れてつじつまを合わせてしまうという方法です。この方法は国産のセレン式EEカメラの修理では定番の方法なのですが、キエフ4/IIIやContaxIIIの場合、軍艦の中があまりにも狭くてかなり大変な作業になります。バラックでテストして決定したら1/8Wの金皮抵抗を使ってゲフンゲフンになります。
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