劇中に巨大飛行機ターポンが登場する話しが幾つかある。その多くでは、あまりの高度のためにエンジン音が聞こえず、地上の人々はその通過に気付かない。しかしそれだけの高度にもかかわらず、B747やB52が着陸態勢に入っているときくらいの大きさに、地上からは見える。そこで、その機体の大きさを予測してみよう。
ふつう、B747があれだけの大きさに見えるには、大体200m位まで高度を下げている必要がある。これに関しては、普段から伊丹空港のランディングコースの真下を通って通学してるので、しっかりと確認している。地上からエンジン音が聞こえず、また効率良く飛行しようと思えば、その高度はおよそ2万メートル付近かと考えられる。B747の全長が70.1m(データはE4B偵察機)であるから、その全長は
70×20000÷200=7000(m)
と、なる。7000m、そう、7kmにもなるのである。単純計算でその重量を推測すると、3億6400万トン(んなアホな!)にもなる。これは地上で組み立てて離陸する物として計算してある。まー実際には3億トンも越えるようなバカサイズにはならないだろうが……。ようするに、じゃあ、全長7キロのTRPG「トラベラー」の改良型ド級戦艦も真っ青なサイズの航空機をどうやって衛星周回軌道まで持ち上げたのか、この事が問題になってくる。トラベラーにおいても、宇宙港と大型発電所はセットになっていた。また、港の大きさも並じゃなく、50キロ四方だとか書いてあったような気がする。つまりである、滑走や反重力フィールド(そんな物あったのだろうか?)では、到底持ち上がる代物ではなかったのである。では、どうやって持ち上げたのだろうか?答えは非常に簡単である。持ち上げたのではなく、下降させたのである。つまり、衛星高度までシャトルか何かで部品を搬送し、組み立てたと考えるのが一番妥当ではなかろうか?これならば離陸に必要な燃料も積む必要はない。速度を上げるにしても、人工衛星と同じくらいの速度で周回している訳だから、むしろ減速する必要があるくらいだ。こうすると、ターポンは何の苦労
も なく発進できるのである。アヤセは「もう降りらんねえらしいや」(コミック3巻第20話”鵬(HOH)”76頁)と言っていたが、「降りらんねえ」のは設計段階からそうなってたのではないだろうか。それが証拠に、ターポンのエンジンは機体後部の腹に2機並列に取り付けられている。もしターポンが着陸もしくは着水し、再発進する予定があるならば、あんな所に付けなかったと思う。エンジンがじゃまで、機首上げができないからだ。
ターポンについて、私はもっと大きな疑問がある。どうやって燃料補給しているんだろうか?ということだ。それよりも、ターポンには燃料補給が必要なのかどうかってことである。私は今回の考察を書くにあたり、ターポンには燃料は不要なのではないかと考えた。エンジン後方に飛行機雲があるじゃないかって言われるとそれまでだが、それにもちゃんと理由が付けられる。もし燃料が必要ならば、定期的に地上からタンカーを飛ばさせる必要がある。しかしどう見てもこの機体、空中給油できそうにないのである。それに、これだけの機体であれだけの速度を維持しようと思うと、ラムジェットでもそうとう燃料を食うはずである。そこで、イオン粒子加速エンジンを使用しているのではないかと考えた。これは、気体分子に電磁場をかけて加速させる。その加速の反動が推進力となる。これならば、中に核ジェネレーターを搭載しておけば、中の人間が死なない限り半永久に飛び付けることになる。まあ、このエンジン自体我々SF好きの連中が考えた夢のエンジンなので、考察の材料にはならないと思う。ターポンの謎については、さらに考察をして行きたいと思う。
参考文献:TRPG「トラベラー」(出版社不明)、小説「トラベラー」(富士見書房)、 |