Fujifilm SUPER FUJICA-6

 
富士写真フイルムが1955年に送り出したフジカシックスシリーズの最終形態です。最後のスプリングカメラって訳じゃないので、シックスシリーズの最終型としておきましょう。2010年になってまさかスプリングカメラのAE付き新型を出してくるとは、予想の斜め上でしたから。

 本当の最終型は1956年に出たX接点付きのM型になるのですが、シャッター以外の差はありません。フジカシックスIIc型以降に採用された直進式ヘリコイドはそのままに、連動式距離計を搭載。距離計は連動式である上に一眼式です。また、スタートマーク式のセミオートマット、多重露光を防ぐための撮影済み表示機構が搭載されています。このセミオートマット、国産スプリングカメラにおいては本機とPerl3、Perl4くらいにしか例を見ない機構です。

 当時のブローニー判の国産スプリングカメラといえば、セミ判のPerlシリーズと66判のマミヤシリーズがしのぎを削っておりました。実際、中古市場ではPerl2、Perl3、マミヤシックスシリーズがかなり幅を利かせており、ジャンクから良品まで多種多様に出てきます。しかし、本機はあまり見かけることはありません。それだけPerlやマミヤシックスが売れまくったってことですね。

 一眼式連動距離計は虚像の分離が良くピントあわせが非常にやりやすいです。また、ボディは軽く、各部の操作感も節度があり、使いやすいボディです。欠点といえば2点。1つはファインダの視野率が低くてフレーミング時にアテにならないこと。もう1つはセミオートマットがスプール回転角制御なため、現代のフィルムを入れるとコマ被りすることです。前者はある程度トリミングすることを前提に撮ると誤魔化せますし、後者もスプール軸を多少加工することで対応できます。3群4枚のFujinar7.5cmF3.5はモノクロのみならず、カラーでも現代に通用する描写と発色をします。

 非常に使いやすく出来のよいカメラです。状態が良い物が手に入ればぜひぜひ使い倒してあげましょう。
  
作例写真
ACROS(EI100)/F8 / 1/50s
Microfine1:1/20℃13.5min
Fujibro WP FM2 (Lucky90-MS+C.E.ROKKOR80mmF4.5)
(C)2010 Takayuki Kazahaya