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千代田光学の旧世代系二眼レフの最高峰機にして最終型機です。同時期に廉価版としてMinoltacordが併売されていたため、FlexIIbやCord系と比べるとそれほどタマ数を見ない機種です。
本機が発売されたころ、8000円前後の低価格で馬鹿売れしまくっていた板金リコーフレックスに対向し、高精度ダイキャスト製ボディに高機能シャッター、性能の良いレンズを積んだヤシカマットが14000円台という価格で発売され、それに対抗すべく千代田光学もオートマットの簡略化やレンズの購買品化などで低価格化したMinoltacordを発売していました。そんな時期に4万円級、現在の貨幣価値でいうところの120万円級のカメラを出していたもんですから、そんなにタマは捌けていないのです。
同時期のMinoltacordとの大きな差異は3点。フォーカシングがFlex系伝統のノブ式であること、レンズが自社製のROKKOR搭載であること、オートマットの制御がフィルム走行距離式であることです。特に最後のオートマットの構造の差は大きく、巻き上げ側の回転角で制御しているMinoltacordはフィルム次第ではコマ被りが発生しやすいのですが、Minoltacord系もAutomat以降はMinoltaflexIIb/IIIと同じ検知方法に変更されています。
基本的な構造はほぼMinoltaflexII系ですが、オートコードの先鞭となるような構造も色々取り入れられています。例えばMinoltaflex2bまでは1コマ目を出すには赤窓を利用したのですが、本機ではSTARTマークを合わせてカウンターをリセットして巻き上げれば1コマ目にセットされます。レンズ周りにはB30バヨネットが追加されました。また、多重露光防止機構も搭載され、アパーチャー内の内面反射防止バッフルも大型化されました。
私の機体はスローガバナ不調という説明で激安で入手したのですが、実際に手元に届いてみると、スローガバナよりもむしろセミオートマットと多重露光防止にトラブルが発生しており、結局多重露光防止機構は撤去してしまいました。当初は具合のよくなかったスローガバナも注油で全速問題なくなり、腐食していたミラーもMinoltaflexIIbからのハイエナで交換しました。ま、おかげでIIbは単なる残骸と化したのですが。
シャッター関連や絞り関連の操作についてはコンパーラピッド系の機体となんら変わりはないのでパス。だってそのまんまだし。ファインダはフレネルはありませんが、中央にフォーカシング用の集光レンズがついていて、そこだけ明るくなるようになっています。おかげでピンの山はつかみやすいのですが、真中だけ明るいので、構図決定が結構やりづらくてねぇ……。欠点といえばこれくらいです。個人的には振り子式のコード系やシーソー式のニューダイアのほうが扱いやすいと感じています。
ちなみに現在は1号機(本稿で紹介してる機体)とは別にジャンクをニコイチにした2号機があり、こちらはレンズがパーフェクトなので2号機をメインに運用しています。 |