Mamiya C220 Professional |
友人Kuma君の奥方の機体を修理で預かったのが運のつき、とうとうこれに手を出してしまいました。マウントはこれ以上増やさないつもりだったんですが、預かったマミヤC3の操作性の高さやセコールレンズの描写に惚れこだ結果でした。 |

|
マミヤが世に送り出した画期的なレンズ交換式二眼レフの集大成みたいなもので、上位機種C330の廉価版普及機という形で1968年に発売された、国産二眼レフとしてはヤシカマット124Gに並ぶ最後発にあたる機種です。ローライフレックスがセオリーどおりに二眼レフを突き詰めた1つの頂点だとすると、マミヤCシリーズはスタジオのブツ撮りから屋外でのモデル撮影までありとあらゆるプロ撮影のための要求をすべて盛り込んでおり、別の意味で二眼レフの究極にあるといえる機体です。ちなみに最終型C330Sは1994年、平成6年までボディが生産されていました(レンズは昭和61年に生産完了していたそうです)。
マミヤCシリーズは「マミヤフレックスC」という機種からスタートしました。その後、C2、C3と改良を重ね、4世代目でフルスペックのC33と普及機のC22に分かれます。C220は5世代目の普及機になります。レンズボードごとごっそり交換する交換レンズシステム、ラックアンドピニオンで豪快に繰り出す蛇腹式のフォーカシングレール、直線フィルム送りによる平面性確保、この点は初代からずっと変わっていません。また、実際に解体すると分かるのですが、コマ数カウンター機構は非常にオーソドックスな構造をしており、レンズ着脱のための機構も笑えるくらいシンプルに作られています。しかし、蛇腹が実は二重構造になっていてデカい蛇腹の内側にテイクレンズ用にさらに蛇腹があったりしますので、完全な重戦車と言えます。
#直線フィルム送りの二眼レフは国産機しか私は知りません。ローライは構造上、直線送りに出来ませんし。
さてC220ですが、前述の通りC330の普及版として出ています。C330との大きな違いは
- 裏蓋が固定式になり手判やポラが使えなくなった
- 巻き上げがノブ+折りたたみ式クランク
- ファインダにパララックス補正と露出倍数補正の表示機能がなくなった
- シャッターがセルフコッキングではない(むしろこの方がトラブルが少ない)
- C330よりさらに軽量化された関係で前板の繰り出し量が5mm短くなった
- これらの機能削減のおかげで300gもの軽量化を達成した
- ピングラがC3系統と同じモノでC330で採用された交換スクリーンが使用できない
- 望遠レンズ使用時に使いやすいボディ下部のレリーズボタンがない(なくても問題なし)
- アクセサリーシューがない(後期型にはシューが復活する)
といったところです。こまごました違いはほかにもありますが、C330でもレンズによってはシャッターチャージが手動になりますし、裏蓋交換なんてフツーしませんので、ぶっちゃけC220でもC330でも状態のいいやつ見つけたら買っちまえという具合です。C33/22までは裏蓋交換をしないと120と220の切り替えが出来ませんでしたが、C330/220では厚板を90度まわすだけで120と220が切り替わります(カウンターは手動切り替え)。また、パララックス補正なども被写体上で5cmずらせば解決できますし、露出倍数も近接時にいったん側面を見れば終わりです。実用性という点ではCシリーズ最強かもしれません。
Cシリーズ共通の話ですが、ほとんど弱点はありませんが、唯一巻上げ関係にトラブルを持つ個体が多いです。私が過去に触ったりした機体も含めてなんらしかジャムった経験のある個体ばかりでした。また、めったにありませんが、蛇腹が死んでいる個体があるのは蛇腹カメラの宿命です。Cシリーズは全体を覆う蛇腹の内側にテイクレンズ用の蛇腹がもう1セット入っているので光線引きはしにくいですが、扱いが悪いと2つとも死んでしまうようです。
|
|
120と220の切り替えは厚板の向きを90度回転させるだけで可能。ただしフィルムカウンターの切り替えは別途手動でやらないとダメ。 |
Cシリーズ伝統のレンズ交換機構は基本的に似たようなもので、側面のダイアルをLOCKにすると上の状態に、UNLOCKにすると下のように遮光板が出てくるとともにレリーズロックが働く。 |
 |
 |
|
18pF4.5を取り付けてめいいっぱい蛇腹を伸ばすとこういう姿に。C330と比べて5oほど繰り出し量が短くなっているが、これでも1:3程度の接写が可能。ちなみに105oや80oだとほぼ等倍の接写が可能である。側面の板に描かれている線は各レンズにおけるおおよその距離、その下のグラフは繰り出し量ごとの露出倍数の早見表。
 |
(C)2006 Takayuki Kazahaya |
|
 |