YAMAHA TDM900 5PSE SouthAfrica |
What's about TDM900 |
XTZ750以来、久々に長期間乗って乗りつぶす目的で導入した車体です。10年13万キロまでは維持することが目標です。
TDM900は2002年、それまでの4TX/5GG-TDM850後期型からフルモデルチェンジして発売された車種で、FMCの際に大幅に改良が加えられております。「King
of Mountain Road」のコンセプト、アルプスローダーというジャンルの開拓者としての位置づけは全く変わっておらず、そのあたりについては850cc時代の性格を色濃く受け継いでいます。900cc化に際してエンジン関係ではスリーブレスな鍍金シリンダー化、シリンダ前傾角の変更(45度→35度)、インジェクション化、6速化。車体関係ではアルミフレーム&スイングアーム化、YZF-R1同様の計量ホイール採用、フォーク径拡大。電装関係ではマルチリフレクター化、バッテリー位置移動が主なところです。ハンドルとシート、ステップの位置関係はほとんど変更がありません。トータル的にはTDM850からの正常進化と言える車体です。
もともとのコンセプトはXTZ750を出発点にオンロード化し、超長距離を大量のペイロードとともに移動し、アルプスやピレネーのような山岳路を走破するというもので、そこで生まれたのが3VD-TDM850(初代360度の輸出車)でした。国内販売が92年に実施されると国内モデルは4EP型となり、さらにその後、TRXのエンジンに換装するマイナーチェンジを受けて4TX-TDM850が生まれ、現在の路線が確立したわけです。その流れを色濃く受け継いでいるので正常進化車種だと私は考えています。
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管理人のTDM900(2010年08月時点での仕様) |

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主なスペック |
機種コード |
5PSE |
全長/全幅/全高 |
2180/80081290mm |
発動機種類 |
水冷4サイクル並列2気筒5バルブDOHC |
排気量/径/行程 |
897cc/92.0×67.5mm |
最大出力 |
86ps/7,500rpm |
最大トルク |
9.1kg-m/6,000rpm |
タンク容量 |
20ットル(予備3.5リットル) |
主な変更点 |
GIVIスクリーン |
OHRINS リアサスペンション |
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使用タイヤ |
前:MICHELIN PILOT ROAD3 120/80ZR18 |
後:MICHLEIN PILOT ROAD3 160/60ZR17 |
追加装備 |
GIVI モノラック+モノキーベースM2(常備:MAXIA E52青)
JRC製分離型ETC車載装置
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変更設定 |
特記なし |
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インプレッション |
○エンジン関係 |
常用域は2000〜3500rpmで、この辺は4TXとほぼ大差ありません。ただし低速側の特性がよりスムースに改善されており、3速までなら1500rpm程度でもなんとか実用になります。常に3000rpm前後で走る関係もあって信号からの出足は結構早いです。上は3500rpm以上回っているとビッグツインであることを忘れさせるくらいスムーズに吹け上がるので、気が付いたらエラい速度まで達していましたということがあります。6速3000rpmで85km程度なので最大戦速は230km前後になる模様で、6速のギア比は4EPの5速とほぼ同じみたいです。パワー的には現在のところ、実用的な意味でフルスロットルはほとんど使ったことがないです。峠でオイタするにしても7割程度の開度で充分な加速が得られますので、高速道路の料金所でちょっとブッ千切りたいというくらいにしか使いません。数値では実感できないパワー感は充分にあります。そういう意味でも4EPや4TXからの正常進化です。
実際の燃費ですが、最低は17km/L、最高は30km/Lです。温暖な時期での平均的な燃費は市街地+αでリッター19km前後、ツーリングのうち一般道で巡航が多ければ25〜27km/L、峠が混ざれば22〜25km/L。高速道路だと25〜30km/Lです。基本的に6速で巡航状態に入った場合、アクセル一定だとすぐにインジェクションの噴射量をカットして巡航モードに入ります。その状態を維持できる範囲内でのアクセル操作をすると恐ろしく燃費が伸び、実例でいうと岩国市内〜加西SA間、広島市安佐南区〜安芸高田市・中国道経由で宝塚市内市街地までと、それぞれ燃料が持っています。どっちもリッター30km弱をマークしています。一方で低温の時期で短距離運用が多いと極端に燃費が落ちます。また、極低温でツーリングをすると噴射量が多くなりがちになり、やはり燃費が猛烈に悪化します。例えば高速道路中心で巡航が多かったにも関わらず、和歌山中部往復でリッター21kmなどです。外気温が平均的に5度以下になると悪化する傾向にあります。
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○足回り・ハンドリング |
基本的なハンドリングは4EP/3VDの傾向をそのまま受け継いでいます。850cc時代にあったリアサスの荷重高低切り替え機能はなくなり、またリンクレス構造からリンク式になり、ピギーバック式リザーバタンクが付きました。足回りの構造はよりオンロード向けに生まれ変わっています。また、ホイールがこれまたYZF-R1などと同様の構造の軽量中空ホイールに変わっています。ダートに行くと割れそうな軽量ホイールです。
ブレーキはフロントがYZF-R1と同じMOSキャリパにパワーアップした反面、リアは上側設置の片押し1ポッド型になりました。上側設置なのは荒れた路面対策ですかね?初期型はフロントのマスタが14mmだったのですが途中から16mmに変更されており、コントロールより初期制動性能重視になっています。ちなみにYZF1000Rよりもはるかによく効きます。この関係からかフロントサスも内部構造が変更されており、0x年式以降・以前でインナーとスプリング、オイルセッティングの互換性がなくなります。また、同時期にリアサス本体も型番が変わっており、別物になっています。
タイヤ関係ですが、基本的に軽い荷重移動でクルクル回る特性の車体ですので、どっちかというとパイロットロード3やロードスマートのような、穏やかなハンドリングのタイヤが向いています。パイロットロード2のようなタイヤが勝手にハンドリングする傾向のタイヤを履いた場合、荷重移動で思った位置でバンクを停めたい人にとっては、かなり苦しむことになります。いや、私自身がかなり2セット目のタイヤとして選んで失敗したクチですので。現在は3セット目でパイロットロード3を履いています。低速での取り扱いでも勝手にバイクが寝ることがないので、結構安心してバンクしてUターン等も出来ますので、個人的にはこっちが向いていると思います。
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○車体関係 |
シートの形状やウレタンが大幅に変わっており、より疲れにくくなっています。ただし脱着は非常にやりづらくなりました。積載はノーマルだと収納式ネットフックも装備されておりかなり良好です。ケース類はネットフックのハードポイントを利用して取り付けるものが多いので、GIVIやクラウザーをつけるとネットフックが利用できなくなります。また、タンクバックはハンドルを切ると干渉する関係で使えるものが限られてきます。ここは850時代と変わりませんね〜。
カウリングはノーマルのスクリーンがほとんど役に立ちません。低すぎるので風防効果がかなり低く、高速道路等では肩から上にモロに風圧が掛かります。360度時代の850でも国内仕様の4EPでは同様の問題があり、輸出仕様の3VD用段つきスクリーンに変える人がそれなりにいました。5PSでも交換したほうが良いでしょう。
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○電装その他 |
850時代はフレーム構造の都合からどうしてもタンク下に持ってこなければ置き場所の無かったバッテリーが5PSではシート下最前方に移動しました。おかげでタンクを下ろすとか知恵の輪で引き抜くとかしなくても良くなりました。メーターは5GGからデジタル速度計+モーター内蔵タコに変わっていますが、5PSになってからは5GGで廃止された水温計が復活しており、燃料計は速度計にデジタル表示されるように変わりました。
問題なのはライト。コストダウンのためでしょうが、LoとHiが片目ずつ点灯する仕様なのですが、照射角がHiとLoを同時に調整する仕組みになっているうえにLoの照射角が通常のHiとLoの間くらいに設定されており、Hiに合わせてビーム方向を調整するとLoでもほとんどHi同然になってしまいます。暗いと評判の悪いTDM900のライトですが問題の根源はリフレクターというかライトユニットの構造そのものにあるようです。私はLo側に合わせてビーム方向を最大限下に向けていますが、一応これで明るさは問題ありません。 |
○カスタム |
もうね、兎に角国内ではまともにサードパーティー部品が出ません。オーリンズですら輸入されなくなっています。足回りの部品は殆ど絶望的ですが、スクリーン類などツーリングギアに関してはそれなりに入手できます。
最近フロント17インチ化されている記事を多数見ますが、TDM850と両方所有した経験上、18インチのままのほうが確実に安定したハンドリングを見せます。17インチ化すると確かに切れ込みは早いですが安定感がどうしても消えます。
意外とヨーロッパヤマハの純正オプションが充実しており、2種類の高さのスクリーンやセンタースタンド、グラブバーの上に設置するキャリアなどがあります。純正OPTとはいえセンタースタンドがつけられるのは850cc時代からの大幅な進歩ですね。850時代は桜井工機製の社外品を10valvesで頼んで作ってもらった経緯がありますので。 |
(C)1998/2008/2013 Takayuki Kazahaya |
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