LEDテールランプ化
 TDMの発電容量とかの問題もあり、テールライトユニットのLED照明化なんぞを画策し始めました。で、各種資料やWEBを参照するに、自力でなんとかなりそうだということなので実行することにしました。が、いきなりTDMにやっちまうのもかなり怖いので、まずは人柱(爆)ということでDT200WRで実装試験してみることにしました。

 ちなみにテールのみならず、将来的にウィンカーとインジケーターもLED化しちまう予定です。さらにウィンカーはハザード対応化を予定、フロントは出来ればスモールライト対応させたいなーとか思ってたりするんですけどね。
○ LED配線の基礎的なモノ
 LEDは発光ダイオードという名の通り、半導体の仲間です。ピカピカ光るから電球の一種だと思ってる人もいるでしょうが全然違います。半導体の中でごにょごにょがあって(この辺は良く知らない(ぉ))ぴかっと光るのです。ですから明るさを電圧で調整する白熱電球と違い、明暗の制御は電流にて行います。よく勘違いして「Vfが2,0VのLEDだから、車体実装だと7個直列にすればいいんでねの?」という人がいますが大間違い。過電流が流れてあっさり萌え、じゃなくて、燃え尽きます。

 んじゃどーすりゃいいの?ってことですが、電源から来た電気がLEDにたどり着く前に使用するLEDの許容電流値まで電流値を制限し、LEDに給電するのです。LED照明化している人を見ているとこの給電方法には3通りの方法がメジャーに使われていまして、1:抵抗制御、2:CRD制御、3:カレントミラー回路となります。3のカレントミラー回路は10v-M032のや10v-M007のホームページに判りやすくかかれていますので、TDM850でググって調べてください。TDM850でググると2番目くらいにM032のサイトが出てきます。で、ほかの2つの解説です。
○ 抵抗による電流生成
 ダイオードというのは電源に繋ぐと消費する電圧値というモノが決まっています。その値がVfです。また、定格電流値というのも決まっていましてこれがIf値です。たとえばVf=2.0V、If=20mmA(今回使った赤LEDもこういう仕様)を使用するとします。1つのグループで5個のLEDを点灯させたいとすると、LED全体の消費電圧値は2.0×5=10.0Vとなります。バイクの給電電圧が大体14.5V前後ですから4.5Vあまるのですが、このあまった電圧を利用して20mmAを作り出します。オームの法則によるとV=IRですから……

V(電圧)=I(電流)×R(抵抗)      4.5(V)=0.02(A)×R(Ω)


 となります。このサルでも解ける数式をといてやると4.5/0.02=225Ωとなるのですが、そんな中途半端な抵抗なんぞ売ってませんので、1/2W、240Ωのカーボン抵抗を上流にかませてやればいいのです。

(電源)---(240Ω)-----(LED)---(LED)---(LED)---(LED)---(LED)---GND

 明るくしたければこの組み合わせをいくつも並列に並べてやればおっけーです。抵抗制御は安価に仕上がるというメリットがあるのですが、電源電圧の変動で簡単に流れる電流値が変動するという欠点もあります。電装電圧が下がる分には問題ありませんが、レギュレータートラブルで過電圧になると目も当てられません。あっちゅーまにLEDがオーバーロードで焼けきれます。特にDT200WRはバッテリーレスですから電圧変動はバッテリー車より大きいので要注意です。
○ CRDによる電流生成
CRDというのは定電流ダイオードといい、電圧値に関係なく一定した電流値を作り出してくれるダイオードです。ただしプラスからマイナスに電気を流した場合の話で、逆に流したらフルに電流を筒抜けに流してくれます。ただこのCRD、先に「電圧に関係なく」と書いちゃったのですが、まともに特性を発揮させるには最低4〜4.5Vほど電圧がないとダメ。だもんで、この辺りを念頭において直列数を考えます。たとえばVf=3.0VのLEDを14.5V電装に繋ぐ場合、CRDが4.5V食い散らかすので残り10V。これを3.0で割り算すると3.33333になるので、CRDの下流に直列できるLED数は3個が限界ってことになります。


(電源)---(CRD)---(LED)---(LED)---(LED)---GND


明るくしたけりゃ抵抗のときと同じようにこのグループを何個も並列配線してやればいいのです。
○ 明暗の制御の方法
明暗の制御にも何通りかあります。メジャーなパターンは……

・テール側とブレーキ側で光るLEDの数を変える
・テール側とブレーキ側で抵抗値を替えて給電電流値を変化させる
・変周減光回路をテール側に組み込んで発光量を落とす

ざっとこんなモンです。一番めんどくさいのは3番目の変周回路を組み込むパターン。内部に余裕がないとできねぇよっていう技ですが、確実に減光できます。一番簡単なのは1番目の発光体の数を変える制御ですが、小さいテールライトレンズの車体だとそもそも発光体の数を減らすと行灯になります。2番目の場所の狭い車体だと2番目のタイプが確実でしょう。今回使う広角LEDは制限電流下でも激烈に明るいことが判明したので、実装は1と2のちゃんぽんで行くことにしました。
実作業編

 まずはさっくり電気街へと買い物に出かけます。元々通販でFluxLEDをしこたま仕入れる予定だったのですが、でんでんタウンで買うと1個43円前後で赤が手に入るという情報をつかみ、急遽地元調達にしました。某通販だと1個70円くらいしますからねー。で、今回買ってきた材料が以下。

○A-BRIGHT 赤色SuperFluxLED:AL-50-30TRC:Vf=2.0V、If=20mmA
○A-BRIGHT 白色SuperFluxLED:AL-50-30-UW1C:Vf=3.6V、If=20mmA
○石塚電気 定電流ダイオード:E-103、E-452、E-152
○VISHAY LITE-ON 整流用ダイオード:1N4001
○ユニバーサル基板

とまーこんなもん。赤色LEDはレールで60個まとめ仕入れ、白色はとりあえず10個、CRDは15mmAと4.5mmAは1個ずつで10mmAはテキトーにがっさり(爆)。整流用ダイオードは電源用なので2個でした。買い物が終わったところで実作業です。
○ 準備作業
 まずはフェンダーからテールライトユニットを丸々がっさりひっぺがしてきます。電球が付いてるうちにピンアサインを確認します。ってサービスマニュアル持ってるんだからそれみれば終わりという突っ込みは却下(笑)。

 ピンアサインは青=尾灯、黄色=制動灯、黒=アースです。

 これを確認したらさくさくと分解していきます。
○ 配列の考察と基板のカット
 解体が終わればリフレクターの形をコピーし、その中に収まるようにLEDと配線の配列を考えます。

 配列が決まれば先に基板のカットを行い、ヒットする部分は削るなりなんなりして整形し、テールユニットに基板が収まるようにします。

 他のWebでの記事では基板表面に銀塗装と書いていますがLEDの特性を考えるとそれほど大きな差にはなりません。特に気にする必要はないでしょう。
○ まずはLEDが光るように半田付け
 基板のカットが終われば半田付けしていきます。半田付けは1グループ完成するたびに外部電源をつなぎ、まともに点灯するかどうかをチェックしていきます。LEDの極性を間違えて半田付けすると焼ききれたり光らなかったりします。
○ 点灯パターンどおりに配線
 全グループの半田付けが終わると点灯パターンどおりに電源線を引き、アースをつなぎ、ケースと干渉しないように車体への配線を基板に半田付けしていきます。

 今回はブレーキ時に全灯点灯、スモール時は3段目の4個組だけ減光点灯するようにグルーピングしてあります。ただライト消灯時にブレーキ側から給電すると、ブレーキ用の3列はフル点灯するのですが、スモール用の1列とナンバー用の白色が減光点灯になってしまうのです。ま、さしあたって問題ないので放置(ぉ
この配列問題については主力機のLED化で対策予定。
○ 単体点灯テスト
 組付けが終わるとまずはテールユニットだけでテスト点灯してみます。部屋の中だとシャレにならん明るさをしています。ていうか蛍光灯がついててもかなり赤くなります。点灯することを確認したのでちゃんと組み立ててユニット製作はまず完了です。で、この時点で夜の23時だったので、さすがに実装テストは断念。
○ 実装点灯テスト

で、翌朝。車体に実装して試験運転と思いきや、キックすれどもすれども・・・・・・・

島:艦長、動きません!!(((((( ;゜Д゜)))))
沖田:もう一度点検せよ!(゚д゚)ゴルァ

なんせ2ヶ月ぶりの機関始動だったもんで、プラグが被っちゃいました。しゃーないのでプラグを掃除して気を取り直してエンジンスタート。すると……

配線組み間違えてるよil||li _| ̄|○ il||li

尾灯のケーブルを左後ウィンカーに繋いでました(爆)
繋ぎなおして気を取り直してエンジンスタート。ををー、しっかり点いてますなー。ちゅーわけで近所の造成地に出かけて逆光チェックと撮影です。結果が左。上が尾灯,下が全灯です。デジカメのAEの具合で尾灯が暗く写ってますが、実際にはかなりはっきり光っているのが見えます。ブレーキ側は電球のときよりも明るいくらいです。これは夜は後続車にゃつれぇだろうなぁ。

右ウィンカーが汚いのは2stオイルです(苦笑

○05/12/13更新:夜間点灯試験しました

 12月12日、足回りオーバーホール完了の引き上げ時に夜間点灯試験を行いました。テール及びブレーキの視認性はいうまでもない状態です。ナンバー灯のチェックがしたかったのですが、3つでそれぞれ角度をつけて設置してあるのもあり、ちゃんと分散して照射されてていい感じ。これなら国家権力にケチつけられることもなさそうです。これでどんな感じでLEDを配置すりゃいいかも見えてきたので主力機用の作成にも踏ん切りが付きそうです。


○LEDテールライトの耐久性(07/04/28追記)
 05年12月に3代目DT200WRに投入したLEDテールライトですが、翌06年秋には4代目DT200WRに移植し、継続運用しています。当初ナンバー灯用の白色LEDは15mmAを流していたのですが装着して実際に神戸元町を往復したらあっさり焼き切れてしまいました。If値が20mmAのLEDですが安全を見越して10mmAに制限しておくほうが無難なようです。10mmAでも地面まで照らすほどの照射能力は持っています。赤色LEDは制動時に全灯15mmAを流す仕様で6000kmほどをノートラブルで走っています。
(C)1998/2005Takayuki Kazahaya